【肉の加熱を科学する~焼く編~】美味しいステーキを食べるために

【肉の加熱を科学する~焼く編~】美味しいステーキを食べるために

みなさん、お肉は好きですか?
僕は好きです。特に脂質の少ない赤身の牛肉。でも一番食べるのは鶏肉です。安いからね。

さて、今回は肉の加熱について、特に「焼く」について焦点を合わせていきたいと思います。肉の特性を知ればレストランで食べるような美味しい焼き方をマスターできますよ。

肉の加熱の基本

肉が火が通るとは

そもそも肉に火が通る、すなわち肉が加熱される、とはどんな状態だと思いますか?

肉が加熱されるというのは肉のタンパク質が変性したということです。

・・・つまりどういうことなんだよって声が聞こえます。ちゃんと解説します。

加熱すると繊維の方向に伸びていたタンパク質はどんどん縮んでコイル(ランダムコイル状、といいます)のように巻き上がっていきます。すると中の水分が外に絞り出されていきます。これが肉汁の流出の原因です。水分が失われると硬くなるのはわかりますよね。生肉とビーフジャーキーを比べてもらえるとわかりやすいと思います。また、タンパク質が縮むことでも硬くなります。これは力こぶを作ってもらえるとわかります。力こぶが出来る≒タンパク質が縮んだ状態です。硬いですよね?

加熱すると肉が硬くなるのは仕方がないことですが、肉が硬くなるのを出来るだけ抑えて加熱できるかがポイントになります。

さて、タンパク質の変性は何℃から始まるのでしょうか。
具体的には、

43℃ 変性が始まる
60℃ 透明感がなくなる(ほんのりピンク色)
70℃ 灰色がかり、肉が硬くなる

って感じ。焼き加減でわけると、

52℃    レア
53℃~57℃ ミディアムレア
58℃~60℃ ミディアム
61℃~63℃ ミディアムウェルダン
64℃~68℃ ウェルダン

こんな感じ。ただ、この指標は人によって異なっているので、参考までに。とりあえず言いたいのは、レアは生じゃない、ということ。

<ここから先はちょっと小難しい話になるので興味のある方だけ>

さて、ざっくりとですが肉の加熱について説明しました。しかし、温度帯によって何故肉の変性の仕方が変わるのか疑問に覚えた人もいることでしょう(いないかも)。それは肉のタンパク質には、ミオシン、アクチン、コラーゲンという3種類(実際にはもっとあるけど調理に主に関わるのはこの3つ)があるため、それぞれ変性温度帯が異なることに由来します。

ミオシン  50℃~60℃
アクチン  66℃~
コラーゲン 55℃~(短時間で変性させる場合は70℃~80℃以上)

ミオシンは主に肉の食感に影響します。生のぐにぐにとした食感から火が通った歯切れのよい食感へと変化させてくれるタンパク質。アクチンが変性してしまうと、肉が縮み、水分が失われていきます。そしてコラーゲン、つまりはすじの部分なんですが、これを変性させることによって角煮のようなホロホロとした食感を生み出していきます。

さて、科学的にもっともベストな加熱は何でしょうか。つまりは「ミオシンとコラーゲンを変性させるが、アクチンは変性させない加熱」ということになります。使用する部位などにもよりますが、答えは55℃~65℃で長時間加熱、です。この加熱方法、つまりは最近流行りの低温調理なわけです。低温調理についてはまた別の記事で紹介します。

低温調理と聞くと「衛生的に大丈夫なの?」って心配する方も多いですよね。特に豚。
例えば厚生労働省によると「豚の食肉の中心部の温度を63°Cで30分間以上加熱するかこれと同等以上」という指標になっています。じゃあ必ず63℃以上にしなきゃならないのかっていうとそうでもありません。「これと同等」というところが大事。例えば60℃で長時間加熱してもこの基準はクリア出来ます。きちんと管理されていればリスクはありません。低温調理についてはまた別の記事で書こうと思います。

 

メイラード反応

これは肉を加熱する上で超重要。メイラード反応とはつまり褐変のこと。加熱による褐変には2種類あって、1つはカラメル化という糖単体の反応。ベッコウ飴やプリンのカラメルソースがこれに当たります。もう1つが今回のメイラード反応。これは糖とアミノ酸が反応して起こります。

さて、メイラード反応が起こる、とはどんな状態でしょうか。

メイラード反応が起こった状態とは、焦げる一歩手前の茶色くなった状態。これが起こると香ばしい香りがつきます。肉の臭みをマスキングする効果もあります。例えば、レンジ加熱した肉とフライパンで加熱した肉を食べ比べてみると一目(口?)瞭然だと思います。

青い丸の部分ような、褐変しているところがメイラード反応が顕著に起きているところ。この肉は全体的にメイラード反応が起きてますね。緑の丸の部分はメイラード反応が起きていない、タンパク質の変性によって変色した部分。火が通った、と言われる色ですね。

このメイラード反応がステーキの美味しさの秘密。カリッと香ばしい表面と、中のジューシーな肉質のコントラストが美味しさを感じさせてくれるわけですね。ただしデメリットは、メイラード反応を起こすとどれもみな似たような香りをもってしまうということ。扱う食材によってはメイラード反応をあまり起こさないほうが良いものもある、ということを覚えておくと良いかもしれません。

ステーキを科学する

肉を焼く、といえばステーキでしょう。嫌いな人はきっといない。宗教とか食生活の主義で食べない人はいるけれどそれはまた別の話。

ただステーキにもいっぱいあります。ビーフステーキ、ポークステーキ、チキンステーキ、ジビエのステーキ、または魚介類。あるいはハンバーグもハンバーグステーキということがありますね。
今回はビーフ、ポーク、チキンの3種類を解説しようかなと思います。他の食材はまた特殊なので別の機会に解説します。

どこの部位を使うか

もちろん、牛・豚・鶏によって使うべき部位は変わります。

まず牛は一般的にステーキ用として売られているのはサーロイン、肩ロースが多いかなと思います。牛に限らず、肩ロースは安価ですが肉質が硬く筋っぽいのが難点。ただしサーロインに比べ、よく動く部位なので肉の旨味は強いです。また、産地の差もありますね。例えばUS産は脂肪が少なく、しっかりと肉質で水分量が多いです。それに比べ国産、特に黒毛和牛は筋繊維に脂肪が入り込んでいる(霜降りになっている)ため、柔らかく、水分量は少ないです。脂肪が入れば入るほど肉は柔らかくなりますが、相対的に肉自体の味は薄くなっていきます。柔らかさを取るか旨味を取るか。そのバランスは好みなので一概には言えません。自分で選んでください、と丸投げしておきます。肉の厚みは基本的に1.5~2.5cm程度が焼きやすい厚さかなと思います。

ちなみに、US産と和牛では、ぱっと見同じさしの入り方をしている肉同士でも脂の口溶けが違うことを感じたことのある人は多いと思います。これは脂肪に含まれる飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の割合によるものです。不飽和脂肪酸は体温で溶けるため、不飽和脂肪酸が多ければ多いほど口溶けが良くなるわけです。つまり和牛は不飽和脂肪酸が多いから口溶けが良いんですね。

次に豚です。豚はロースが良いと思います。肩ロースもありますが、豚の肩ロースは特に硬いのでステーキには向きません。一番ベストは肩ロースに近いロースですね。柔らかさもあり、旨味もあるので。困ったときにはとんかつ用で売られている部位を買っておけば大体オッケーです。ロースのね。
豚は牛に比べてさしが入りにくいので固く感じることが多いですが、柔らかいものが好みであればイベリコ豚がおすすめ。不飽和脂肪酸が豊富なのでとても柔らかいです。

最後に鶏。これはもも肉一択でしょうね。胸肉でも出来ないことはないですが、相当難しいのでもも肉にしておいたほうが無難。これもまた機会があれば。
産地は国産一択。鶏肉は輸入される時に鮮度が落ちやすいので冷凍の状態で運ばれてきます。肉は一度冷凍してしまうと、細胞が破裂し(水は凍ると膨張する)、そこからドリップが流れ出てしまうんです。なので輸入鶏は避けたほうが無難。

肉の下処理

まずは牛。US産の牛を使う場合は1つプロセスが増えます。そのプロセスは乾燥。US産の牛肉は水分が多いので、肉の味が薄く、メイラード反応が起きにくいです。それを解消させる必要があります。やり方は、網の上に乗せて冷蔵庫に1日入れておくだけです。和牛の場合は水分が少なく、また、脂肪が多いので空気に触れさせてしまうと酸化が進んでしまうため、この処理は向きません。

次に肉を常温に戻していきます。このプロセスはどんな肉も共通ですね。ちなみに常温とは18℃が基準です。冷蔵庫から出したばかりの肉は6℃~8℃といったところ。肉の温度を上げておくことで肉が生焼けになるのを防ぎ、上手に焼くことが出来ます。また、加熱時間を短く出来るので肉汁の流出を減らすことが出来ます。このプロセスは常温に戻すというより、常温で加熱するというイメージを持ってください。

ここで一つ、裏技を紹介します。やり方は簡単。肉を袋に入れて40度のお湯に30分つけておくだけ。この方法はまさに加熱ですね。低温調理の一種と言っても良いかもしれません。特に厚みのある肉を焼くとき、僕は1.5cm以上厚みがある肉を焼くときにはこの方法をとります。衛生面について心配する方もいるかもしれませんが、この方法は表面の細菌は繁殖しやすくなりますが、加熱するので問題ありません。

最後に塩をふるプロセス。焼く直前に重量の1%の塩を振ります。なぜ1%なのか、ということですが、人間は0.8~1%の塩分濃度を一番美味しく感じる様になっているのです。というのも人体の塩分濃度が0.85%だから。自分の身体と近い塩分濃度を美味しいと感じるんですね。

水分が出てしまうから焼く前には塩を振るな、と主張する人もいますが、差はありません。塩が浸透してジューシーになるので必ず振りましょう。ちなみにジューシーとは口の中で感じる水分に影響を受けます。つまりは食材に含まれる水分と唾液。塩味は唾液の分泌を促すので、ジューシーに感じます。また、香ばしい香りや脂もまた唾液の分泌を促します。水分が少ないはずの焼き肉がジューシーに感じるのはそのため。
ちなみにコショウは振ってはいけません。ただ焦げるだけです。出来上がりに振ってください。

次に豚です。豚肉はまず筋切りが必要になります。筋を切らないと肉が反ってしまって上手に焼けません。とはいえ、肉を切ってしまうとその部分から肉汁が流出してしまいます。それを防ぐために最低限の場所を切る必要があります。

丸をつけたあたりの筋を切ってください。大体このあたり切っとけば間違いないです。(左上の丸はもうちょい左上だったかもしれない)

次は常温に戻す工程。これは牛と同じ。

最後に塩をふる工程ですが、牛とは若干、異なります。牛の場合は全体にまんべんなく塩をふりかけましたが、豚の場合は赤身の部分には薄めに、脂身の部分には気持ち多めに振ってください。牛の脂身と違って、豚の脂身は食べて美味しいのでしっかりと味付けしたいのですが、油分が多いと塩は浸透しにくいので、多めに塩を振る必要があります。なぜ豚の脂身が美味しいかというと、脂が溶ける温度の差です。「どこの部位を使うか」の項でも説明しましたね。人間は自分の体温で溶ける脂は美味しいと感じやすいんです。

最後に鶏です。鶏は牛豚と異なり、先に塩を振ります。というのもスーパーで売られてる鶏肉(ブロイラー)は水分が多く味が薄いため、先に塩を振って味を引き出しておく必要があるのです。なので1%の塩を振り、冷蔵庫で30分ほど寝かせましょう。その後、キッチンペーパーなどで水分をとります。さて、このプロセス、スーパーで売られてる鶏肉の話。味の濃い鶏肉(例えば軍鶏や地鶏など)を使用する場合は牛豚と同じく焼く直前に身側に塩を振りましょう。皮に振ってしまうと水分が出てきてしまい、パリッと焼けません。

次に鶏は脂肪の部分を取り除く作業が必要になってきます。鶏もも肉をひっくり返すと(皮の反対、肉側)黄色い脂肪が付いてるのがわかりますか?

この鶏肉は少なめですね。この脂身は美味しいものじゃありません。この脂身を放置してしまうと焼くときに臭みが脂に溶け出し、鶏肉全体に臭いが回ってしまうので取り除くようにしてください。あまりにも細かいところまでやる必要はないですよ。大きめな部分をいくつか取り除いてしまえばあとは誤差の範囲内です。

次に牛と同じように乾燥させる工程が入ってきます。ただ、鶏の場合は皮目だけを乾燥させていきます。チキンステーキの美味しいところはパリッとした皮とジューシーな肉質の組み合わせが美味しいんですが、皮をパリッとさせるためには予め水分を取り除いておく必要があるわけです。やり方ですが、身側にオイルを塗り、皮目を上にしてバットなどにおいて冷蔵庫で一晩寝かせる、というもの。牛のように網の上においてしまうと全体が乾いてしまうので身は出来るだけ空気に触れないようにバットにぴったりとおいてください。

最後に常温に戻す行程。ここで一つ注意点。鶏肉の場合は40度のお湯に沈める方法をとってはいけません。この方法をとってしまうと、せっかく乾燥させた皮目が湿ってしまう可能性があるからです。

肉を焼く

ついに焼く工程です。低温調理か!?と思いきや、そうではありません。ベストな加熱は低温調理って言っておきながらなんだよ、って思うかもしれませんがちゃんと理由があります。ステーキはメイラード反応がしっかりと起きた表面の香ばしさと、中のジューシーさが合わさって美味しいと感じるわけです。低温調理する場合は最後の仕上げとして、やはりメイラード反応を起こすために焼き付けるんですが、その際、肉には完全に火が入った状態なのでメイラード反応をしっかり起こそうとすると焼きすぎてしまうのです。なので、ステーキにはあまり向かない技法です。ステーキを焼くときには低温調理は忘れてしまいましょう。

まずは牛から。まずはフライパンを強火で1分間予熱します。使うフライパンは鋳鉄製のものが好ましいですが、テフロンでも出来ないことはないです(ただし加工が痛みます)。予熱したフライパンに大さじ2、3の油を加えます。

さて、肉を焼いていきますが、ポイントは肉は何度もひっくり返すこと。20秒~30秒毎が良いです。肉を焼く時にひっくり返すのは1度だけ、というのは俗説です。そもそもなぜひっくり返すのは1度だけ、と言われていたかというと、この方法では何度もひっくり返すのと比べ、きれいな焼き目が付きます。昔は焼き目がつくと旨味が閉じ込められると考えられていたため、きれいな焼き目がつく「一度だけひっくり返す方法」を正解と考える人が多かったのです。それが今でも言われ続けているわけですね。別に焼き目をつけても旨味は逃げますし。

対して、何度もひっくり返す方法のメリットはなんでしょうか。それは熱が均一に入ること。一度だけひっくり返す方法ではフライパンに接していない面の温度はどんどん冷えていきます。そして表面が冷めると加熱時間が長くなり、肉汁がどんどん流出してしまいます。また、特に厚みのある肉の焼き上がりにおいては、表面は火が入りすぎてスカスカなのに中心部は生、ということが起こります。何度もひっくり返すと、表面が常に熱にさらされているので火が早く通り、中心部まで比較的均一に火が通るのでレアやミディアムなど、焼き加減を上手にコントロール出来るようになります。

また、脂の多い和牛を焼く場合はそもそもフライパンで焼くのは向いていません。和牛は脂をある程度落としたほうが良いので、網を使ったり、グリルパンなどを使って脂を落としつつ焼くのが良いかもしれません。ただ、好みの問題もあるので一概には言えませんが。

焼き上がりは指で押したときの弾力で判断します。が、慣れるまでは指で押して判断出来るはずもない(そもそも基準がない)ので、温度計を刺して確認してください。仕上がりの温度よりも2,3℃低い温度でフライパンからあげます。予熱で2,3℃は上がってしまうので。

焼き上がったら暖かいところで肉を休ませます。予熱で加熱する、ということですね。肉を休ませずにすぐ切ってしまうと、肉汁が大量に流出してしまいます。なぜかというと、タンパク質は加熱によって収縮します。その収縮によって肉汁が中心部に向かってどんどん押し出されていきます。焼き上がったタイミングではまだ中心部へと肉汁が向かっている途中なので、そのタイミングで肉を切ってしまうと、行き場を失った肉汁が流出してしまいます。肉を休ませることで、肉の外側と中心部の温度差がなくなるため、肉汁を肉の内部に均一に行き渡らせることができ、肉汁の流出を最低限に抑えることが出来るわけですね。休ませる時間は焼き時間の2倍を目安にしてください。アルミホイルをかける方がいますが、せっかく香ばしく焼き上げた表面が湿ってしまうのでかけてはいけません。

次に豚です。豚の場合は小さじ1程度の少量の油で、肉を立てるようにして脂身から焼いていきます。火加減は弱火です。しっかり焼いた脂身は美味しいので香ばしく焼き上げましょう。脂身を焼くと脂が溶けてくるので、その脂(ラード)で肉を焼いていきます。

このとき、豚肉の場合は牛肉と同様に強火で一気に焼き上げるパターンと、弱火でじっくりと火を通すパターンの2通りを選ぶことが出来ます。というのも、牛肉は肉内部の水分量(と香ばしさ)にジューシーさが起因しますが、豚肉の場合は脂(と香ばしさ)にジューシーさが起因するので、急いで焼き上げなくても大丈夫なのです。

強火で焼く場合は牛肉と同じようにして焼いていきます。特に厚みのある肉の場合は何度も裏返さないと火が通りにくいのでこちらの焼き方が適していると思います。とはいえ、スーパーにはあまり厚みのある豚肉はおいていませんが(焼きが不十分だと衛生的なリスクがあるので)。スーパーで売られている豚肉は厚くても1.5cm程度。そのくらいの厚さであれば弱火でじっくり火を通すパターンで大丈夫です。

弱火で焼く場合は盛り付ける時に表になる面から焼いていきます。最初に焼いた面のほうが焼き色がきれいに付くので。余裕があれば焼いている途中、油をスプーンですくって脂身の部分にかけるとなお良いです。脂身の部分はコラーゲンが多いため、高温で焼く必要があります(おさらいですが、コラーゲンを短時間で変性させるには70℃~80℃以上)。焼いている側に焦げ目がついたらひっくり返して、同じようにして焼いていきます。焼き上がりは指で押して判断しても、温度計を使っても良いですが、中心部が60℃以上になるようにしてください。あるいは、肉の表面にしっとりと水分が浮いてきたら丁度良い焼き加減の目安。そうしたら牛肉と同じように休ませましょう。

最後に鶏です。チキンステーキの焼き方は正解が一つしかありません。蓋をせず、焼き加減は強火で皮目を焼き、弱火で身を焼き、再度強火で皮を焼く、という焼き方。皮だけが強火の理由は、皮のコラーゲンをゼラチン化させると共に水分を蒸発させることによって皮がぱりっとするからです。弱火で焼くと皮のコラーゲンがゼラチン化せず、水分だけが蒸発してしまうのでぐにゃぐにゃした食感になってしまうのです。なので強火。

最初は皮目を小さじ1程度の少量の油で焼いていきます。焼きながら肉をフライ返しなどで押さえつけるのが大事。これをすることによって皮を均一に焼くことに繋がり、皮全体がパリッとします。皮にある程度火が通り、固まったら抑えるのをやめてください。抑え続けてしまうと肉汁がどんどん流出してしまいます。5分程度焼き、肉の断面を見て真ん中辺りまで火が通ったのを確認したらひっくり返し、弱火に落とします。身側も5分程度焼いていきます。中心温度は70℃弱を目指します。鶏肉は牛や豚と異なり、コラーゲンが多いので、コラーゲンをゼラチン化させたほうが柔らかく食べることが出来るため。肉に火が通ったら、再度強火で皮を焼きますが、これは2,30秒も焼けば十分です。このプロセスは肉に火を通す目的ではなく、身を焼いた際に出た水蒸気によって湿ってしまった皮の水分を飛ばすことが目的だからです。

焼き上がったら、牛豚と違って肉は休ませません。休ませると水分が出てきてしまい、せっかくパリッと焼き上げた皮が湿ってしまうからです。丁寧にする場合は、身が焼けた段階で肉を取り出して休ませ、休ませたら皮を焼いて水分を飛ばす、という方法があります。今回はわかりやすく焼きと休ませる工程を分けましたが、お好みで選んでください。

※牛肉のロー、ブルー、ブルーレアという焼き方

牛肉の焼き加減にはレアの下に3段階、ロー、ブルー、ブルーレアというものがあります。ローはつまりはRaw、生のこと。ブルーは表面を数秒焼いた状態、ほとんど炙りに近いです。ブルーレアは表面を数十秒焼いたもの。このレベルの焼き加減だと、肉は何度もひっくり返すとか言ってられない焼き加減です笑。

さて、この焼き加減、衛生的に最悪なんですが、どうやって衛生面をクリアしているのでしょうか。それはトリミング。基本的に細菌は肉の表面にしかいないので、肉の塊を、中に火が通らない様に外側だけ焼き、その焼けた部分だけを切り落とすんです。そうするとほぼ無菌状態の生肉が完成します。それを切り分けて食べるので比較的安全なんですね。切り落とした部分はまかないになったり、ソース、ストック(洋風出汁)を取るのに使われたりしてるので、食料廃棄問題で騒ぐ必要はないですよ!笑

まとめ

いかがだったでしょうか。ステーキ焼きたくなっていたら僕の勝ちということで。肉は実際に焼いてみないとわからないことが多いです。品種や部位、肉の水分状態で焼き方が微妙に変わっていくので経験がものを言いますが、今回お伝えした方法である程度上手に焼けるはず、だと思います。

思ったより長編になってしまったので、牛、豚、鶏でわけて別記事を作るかもしれません。